
ているんじゃないですね。鍵も近所の土地を寄附した方の家にある。そして、毎日、当番制で掃除をしたり、奉仕をしたりしているということでございます。別に歌舞伎保存会という組織がありまして、今回の渡辺美佐子さん一座が行くというので、村民の方、80%の方々が組織に入ったそうですね。ですから、この80%の方々が入ったということは、この方々がほとんど全員観客になり得るということです。または、その一部の方は出演者にもなり得るということですね。そういうようなことで考えますと、岐阜県の加子母村の明治座というのは、これからの1つのアートマネジメントの象徴じゃないでしょうか、そんなことで、住民参加型というものをその地域地域で知恵を絞って考えていく。結局、加子母も、その地域の8割の方々のネットワーク化の核になっているのは、やっぱり明治座という文化施設なわけなんですね。 そういうふうなことを考えてまいりますと、函館市民野外劇というのが、先ほど申し上げました西フランスのヴァンデ県のル・ピュイ・デュ・フーの野外劇に刺激されまして、ちょうどヴァンデ県から函館に、神父さんとしてもう何十年も住んでいらっしゃるフィリップ・グロウ神父さんという方がいらっしゃって、もう今や函館弁で、イカそうめんをつるつる吸っている方であります。3年前に一緒にフランスヘ行きましたが、フランス人に日本語で「どうぞ」と言いまして、私たちにフランス語で「ボワラ」と言ったりして、非常におもしろい方なんです。この方が、函館の五稜郭でル・ピュイ・デュ・フウ野外劇と同じことができないかという提唱をしまして、それがもう9年目になりました。ここでもやっぱり全国から観客が2万人ぐらい参りまして、出演者は毎回400人、全市民のボランティアの出演でございます。そして、延べで5000人程度の市民の方々が出演者として参加するということでございまして、こういう点で考えてまいりますと、いかに地域に根差した、自主的な、創造的な住民参加型の文化活動というものが大切かということがわかるような気もするわけでございます。 次は、「予算案の検討」でございますが、これは明日詳しくあろうかと思います。「収入と支出のバランス」については、「自主財源」と「入場料収入」と「助成金」が収入でございますが、助成金ということも含めてメセナの問題があるわけでございます。先ほど伊達メセナ協会のご紹介をいたしましたけれども、企業のみならず、多くの市民の方々が、しかも伊達メセナ協会の場合は、伊達市を中心に近隣の町村の方々にもネットワークを広げて、幅広い広域文化圏の中での支援体制を考えていらっしゃるということでございますから、これは非常に貴重なモデルとなるんじゃなかろうか、そういう気がする
前ページ 目次へ 次ページ
|

|